瞬間視とは、一瞬で見た物からいかに多くの情報を入力できるか、という能力です。見た物を一瞬の間に映像として記憶するようなイメージです。

サッカーでは主に、オフ ザ ボールで首を振って周りの状況を確認する時に、この瞬間視の能力がとても役立ちます。また、オン ザ ボールでlook upしたその一瞬で、いかに多くの情報を入力し、その情報を有効利用できるか? という場面でもこの瞬間視の能力が必要不可欠になります。

ゴールの位置相手の位置味方の位置スペースの有無相手や味方の体の向き・目線・ボディバランス・進行方向、などを一瞬で入力し、その情報を処理して、シュートコースパスコースドリブルのコースを見つけていくのです。

例えば look up した瞬間、この画像のように見えたとします。ここからどんな情報が入力できるでしょうか?

①味方の情報
位置や人数、進行方向、顔や体の向き、アイコンタクトやボディランゲージ、など

②相手の情報
位置や人数、進行方向、顔や体の向き、など

③スペースの有無
スペースの位置や広さ、など

また、入力した情報を元に、トラップした方が良いのか、ダイレクトで蹴った方が良いのか? スペースへのパスなのか、足元へのパスなのか? 浮き球なのか、グラウンダーなのか? 右足で蹴った方が良いのか、左足で蹴った方が良いのか? パスやシュートの強弱は? タイミングは? などといった、その時に自分がするべき最良のプレーを判断し、選択をする

おそらくこの画像の場面では、①のスペースへドリブルしながら、DFの裏に飛び出そうとしている味方の選手とタイミングを計り、DFとGKの間にある②のスペースへのスルーパスを、インスイングになるように左足のインサイドキックか、右足のアウトサイドキックで蹴る、というプレーが選択されるのではないでしょうか。

入力される情報量が多いほど、プレーの選択肢も多くなります。選択肢が多くなるほどプレーの幅が広がり、良い判断につながる可能性も高くなります

とは言え、ゴールデンエイジの年代の選手が一瞬でここまでの判断をするのは難しい事かもしれません。しかし、判断は出来なくても、『見えている』という事が大切です。見えていれば、見る能力が備わっていれば、判断が出来るだけのIQが備わってきた時には必ず判断できるようになるはずです。判断が出来れば、きっとそのプレーをやってみようとするでしょう。ゴールデンエイジの年代です、やろうとすればきっとすぐに出来るようになるはずです。

もし見えていなければ、見る能力が備わっていなければ、いくらIQが上がってきてもその判断は出来ません。判断が出来なければ、そのプレーをやろうとはしません。やろうとしなければ、そのプレーを行うだけの技術は決して身に付きません。

見る能力を身に付けていくかどうかで、これだけの差が生まれてくるのです。

そしてもう1つ、瞬間視の能力が上がると、相手やボールの動きがスローに見えたり、一瞬止まって見えたりするなど、『特殊な見え方・特別な能力』を獲得できる可能性が期待できます。
これが獲得できれば、サッカーをやる上ではかなり有利になります。対峙する相手に対して常に優位に立ち、速く正確な対応をすることが出来るからです。

このセクションでは、もちろん簡単ではありませんが、時間をかけて、このような瞬間視の能力を向上させるためのトレーニングを行っていきます。

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