サッカーの1番の目的は、ゴールを奪うことです。そのゴールを決めるために打つのがシュートであり、そのためサッカーにおいて最も重要なプレーの1つであると言えます。
では、そのシュートを打つ時、何を見なければいけないのか? どんなサッカービジョン能力が必要になるのか?
当然蹴る瞬間はボールを見なければいけません。他にも、ゴール、ディフェンダー、ゴールキーパー、シュートコース・・・
さらに、パスの選択肢も持って味方の位置やパスコースも見ておかなければいけない場面もあるでしょう。
どのタイミングで何を見なければいけないのか? それを明確化して、意識してプレーをする。
最初は、『えっと、まずゴール見て、次にキーパー見て、あとDFも見て、周りの味方も見て、えっと、最後はボールをよく見てシュート…』と1つ1つ考えながらプレーするので、遅くてぎこちないでしょう。当然初めからスムーズに完璧に出来るわけはなく、きっとそんな事を気にしないでいつも通り普通にシュートを打った方が上手くいくでしょう。しかし、反復練習を繰り返して、意識が染みついて無意識になれば、きっとシュートの精度は上がります。ゴールが決まる確率もきっと上がります。なぜなら、無意識に出来るくらい染みついているということは、入力系と情報処理系が上がっている証拠だからです。であれば当然、出力系も上がっているはずです。
これがよく言われる、フィードバック制御とフィードフォワード制御です。
ここでいくつかトレーニングの例を挙げて、そのプレーを分析してみましょう。
バイタルエリアでパスを受け、トラップしてからのドリブルシュート。ダイレクトシュートもOK。
➡パスを受ける前にゴールの位置、キーパーの位置、ディフェンダーの位置・距離・体の向き・ボディバランス・目線などを確認(眼球運動・瞬間視・周辺視などを活用)し、ダイレクトシュートか、トラップしてすぐシュートか、ドリブルしてからシュートか、状況に応じて最善のプレーを判断・選択する。さらに、パスのボールをよく見て(動体視力)トラップやダイレクトシュート(目と身体の協応)。ドリブルを選んだ場合、ドリブルしながらゴールやキーパーを確認(眼球運動・瞬間視・周辺視)。キーパーにシュートコースを隠すために周辺視でシュートコースを見て判断し、ボールをよく見てシュート(動体視力・目と身体の協応)。
この一連のプレーだけでも、これだけのスポーツビジョンが必要となり、活用されています。
質の高いプレーをするためには、いかに『見る』ことが重要であるか? それが表されていると言えます。
センタリングに合わせてボレーシュート
➡とにかくボールをよく見る(動体視力)。ボールの軌道・スピード・回転・高さ・位置など、全ての情報を入力して、そこに正確に足を出す。ボールの中心と足の中心に糸を引いてピタッと合わせる、ミートさせる(目と身体の協応)。まさにボレーの真髄です。
また、ゴールやディフェンス、キーパーの位置は周辺視で捉えます。
センタリングが入ってくるのは、密集するゴール前です。シュートを打つためには、ゴール前への入り方・ボールの受け方・スペースの作り方、などが重要になってきます。もし、ゴール前をバードアイで見ることが出来たら、
どこにセンタリングが入ってくるスペースがあるか?そこからのシュートコースは?
そのスペースに、どのタイミングで、どんな動き方で入ればボールが受けれて、シュートが打てるか?
より良い判断につながり、シュートを打てる機会が増えるはずです。
また、いつも上手くミート出来ずにシュートミスが多いのなら、とにかくよ~くボールを見ること。すると、次第に入力系が上がり、それを繰り返していくと情報処理系や出力系も上がります。さらに繰り返していくと、出力された情報通りに動くための神経回路ができ、そのための筋肉が付きます。筋肉が付いて思い通りに動けるようになると、上手くなります。きっと上手くミート出来るようになるはずです。
よく見ること、それがサッカーが上達する最初のステップになるような、そんなサイクルを作っていければと思います。もちろん、このサッカービジョンコーチングの練習時間内だけでは、十分な反復練習は出来ません。なので、ここで学んだ事を普段の練習の中で意識して反復をしていってください。また、ナンバータッチトレーニングや眼球運動などのスポーツビジョントレーニングも、毎日自宅などでやると良いでしょう。