周辺視とは、周辺視野を使ってより広い範囲の情報を入力することで、プレーの選択肢を増やし、判断力やプレーの精度を高めようとするものです。スポーツではよく『間接視野』とも呼ばれるものです。
目と身体の協応の所でも少し触れましたが、周辺視野は杆体視であり、視力が低くて色能がありません。つまり、とても精度の低い視野であるということです。しかしその分、より広い範囲の情報を入力することが出来るので、スポーツをやる上では周辺視野は欠かすことの出来ない重要なファクターです。
周辺視のトレーニングは、その周辺視野を刺激するトレーニングを行うことで、普段のプレーの中での無意識の周辺視野の感度・精度を向上させることにより、入力系を向上させようとするものです。
ここで1つ、面白いデータを紹介します。
人間の視野は、上半分と下半分で機能が異なります。
下半視野は、非線系処理。柔軟性があって、応用力・適応力が高いものです。
一方、上半視野は、線系処理。つまり、決まった通りにしか処理できず、応用が利かない、ということです。
そこで、サッカー選手と非サッカー選手で、この上下の視野の機能を比較した研究があります。
そして分かったのは、非サッカー選手は上半分と下半分で機能に差がありました。つまり、サッカー選手ではない人は上半視野は応用が利きませんでした。
しかし優秀なサッカー選手は、なんと上半分と下半分で機能に差が無かったのです。つまり、上半視野でも応用が利いたのです。
これはすなわち、優秀なサッカー選手は周辺視野をいかに有効に使っているか? 良いプレーをするためにはいかに高い周辺視の能力が必要か? ということを示唆していると言えます。
しかしこれは、サッカーに限った話ではなく、あらゆる全てのスポーツで必要な能力であると考えています。
野球でも、バスケットでも、テニスでも、どんなスポーツでも、周辺視の能力が高ければ高いほど、より多くの情報を入力することができ、出力される情報の質も高くなるからです。